鶴木次郎のブログ はてなブログver

主にBlogger での同名ブログのコピペにて作成しています。

書籍・出版物に関して(対話形式)

A「先日読了した野上彌生子著の「迷路」はかなり読み応えがあり、面白かったですよ。
もし、機会があればBさんも読んでみては如何でしょうか?」

B「はあ、そのことはAさんのブログで書かれていましたので、少し調べてみて面白そうでしたが、最近の私はまたハンナ・アーレントの「人間の条件」を読んでみようかと考えております・・。
あの著作に関しても、今現在の我が国であるからこそ、興味深く読むことができるのではないかと思います。」

A「ああ、たしかに、あの著作は今だからこそ、面白く読むことができるのかもしれませんね・・。
残念ながら私は「人間の条件」はきちんと読んだことはありませんが、その概要はたしかBさんからお聞きしていたと思いますので・・。
私も機会があれば、今後また、ああした人文社会学分野の名著をもう一度読んでみようと思いますが・・。」

B「ええ、もし機会があれば、是非読んでみてください。
ああした著作で述べられている内容の多くは、現代も含め、様々な時代に当てはめて考えることができると私は思うのです。
しかし一方、面白いことに、我が国の社会においては、そうした著作がもたらす観念、考えが社会一般において蓄積されることなく、良くても一過性の流行のようなものとして、忘れ去られてゆくような傾向が強いのではないかと思います・・。
そして、こうしたことは、多くの出版物が刊行されるという我が国の特徴と何かしら関係があるのかもしれません・・。」

A「・・ええ、たしかにそこに何かしら関係があるのかもしれません・・。
そして、そのことに対し、下世話に考えてみますと、おそらく、我が国においては、書籍などといった文化的な事物であれ何であれ「とにかくそれが生活のタネになればそれで良い」といった、ある意味穿った考えにより(徹底的に)貫かれているのではないかと考えさせられます・・。
また、そのことは我が国一般に見られる極めて此岸、現世重視の傾向とも親和性を持つのではないかとも思います・・。
とはいえ、こうした傾向とは、近代以降においてより一層拍車が掛かり、そしてその延長上たる現在とは、多少その行き詰まり感が見えはじめているといったところではないでしょうか・・(苦笑)」

B「ええ、それは私も同意できます。
また、一つに、そうであるからこそ、先ほどの著作を読み直してみたいとAさんに云ったのではないかとも思います・・。
それに加えて、先日書店に行った際に「嫌われる勇気」といった書籍がベストセラーとして取り上げられていました。
この著作は、海外の心理学者によって書かれたものであるのですが、こうした著作とは「果たして我が国でどのように取り上げられ、受容されるのであろうか?」と不図考えてしまいました。
といいますのは、明確な規範、倫理意識らしきものがなく、同時に極めて現世利益を希求する傾向の強い我が国においては、それは「必ずしも良いものではない。」と私は考えるからです・・。
我が国の場合、兎にも角にも「空気」至上主義なのです。
また、このようなことを云ったり、書いたりすると「世間知らずの上から目線」として非難されるのが現今我が国の社会一般であるのですが、では、その非難される方々は「果たして我が国の社会の歴史について、通り一遍以外の見識、知識を持っているのか?真剣、真摯に書かれたそれらに関する著作を能動性を持って読んだことがあるのか?」と心ならずも思ってしまうのです・・・。
そして、さらに、そうした非難される方々の権威ともなる御用著述家、学者が出てくることもまた、さきほど示した我が国の現世志向性を示しているのではないかと思われます・・。
また、そうしたことにより生成される状況とは、結局のところ、感情的な水掛け論に終始し、少しも良い結論が出る、止揚されることなく、時代の経過と共に、これもまた忘れ去られてゆくというのが、実状といったところではないかと思います・・。」

A「ええ、そうしたことは私にっても耳のイタイハナシではありますが、たしかに、そうした傾向とは、少なからず存在するのではないかと思います・・。
また、同時に、そうしたことは我が国を何かの対象として考える機会を持った諸国とは、先刻承知しているのではないかとも思います・・。
その意味で我が国とは、まあ扱い易い国であるのかもしれません・・。
そして、そうした扱いによって、我が国の社会組織において問題が発生しても、それはそれを仕組んだ外国に対する強い抵抗、抗議には至らず、内部の組織抗争に終始するということもまた、先刻承知であるのではないでしょうかね?
まあ、良くも悪くも我が国日本とは和、輪のクニであり、内部完結しておかないと気がすまないのかもしれません・・(苦笑)。」

B「ええ、そうしたことは、たしかに他の先進諸国とは多少異なるのではないかと考えさせられます。
そして、それは、近年寿命により相次いで亡くなっている太平洋戦争を経験された方々の多くが最後の最後まで危惧していたことではないかと思います・・。
我々は、こうして愚痴をいうより他がないのは大変残念ではありますが、まあ、それでも、過去に記された名著と考える著作を様々な方々に提示すること、できることには、何かしら意味があるのではないかとも思います・・。」

A「ええ、そうですね。
では、私はこの一連のやり取りを個人特定の要素を除き、ブログの記事にしてみます・・(笑)。」

今回の熊本での大地震により被災された地域の出来るだけ早期の復旧、復興を祈念いたします。

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